台湾時事

台湾の憂鬱−成功したコロナ感染の抑え込み

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新型コロナウイルス感染を完全に抑え込んだ台湾

2021年1月現在、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大が治まる気配がない状況が続いていますが、台湾国内においては2020年12月22日に253日ぶりに国内感染者が1名確認されたものの、感染経路は判明しており、それ以降の感染も確認されていません。台湾の成功事例が度々メディア等で取りあげられている通り、完全に抑え込みに成功している状況が続いています。

資料:台湾衛生福利部HP

2021年1月4日時点で感染者が815名で、そのうち隔離が既に解除されているのが696名、死亡された方が7名となっています。現在感染確認が報告されているのはいずれも空港検疫及び入国後隔離期間での感染確認でいずれも国外からの入国者のケースです。

国内感染を断ち切った初期対応の速さと徹底

昨年2020年の春先は、確認数は多くないものの、国内感染が確認され続けていました。しかし初期の段階で水際対策を厳しく徹底した上で、国内感染について感染ルートの追跡と濃厚接触者の隔離で潰し込んでいった結果、国内での感染は確認されない状態まで持ってくることに成功しました。

日本は小康状態から再び感染が拡大している状況ですが、日本の対応と比べて「徹底」的に「スピード」感を持って対応している点が結果として表れています。台湾と比べ日本の水際対策は非常に緩く、徹底されていないように感じざるを得ません。マスコミと世論に揺さぶられながら、経済と防疫、どっちつかずの中途半端な対応になってしまっているように見えます。

SARSの経験が生かされた?

台湾が新型コロナウイルス感染を抑え込めた理由として目につくものの中に「SARSの経験が生かされた」というものがあります。確かに2003年のSARS大流行の際には、初期対応の遅れから73名の方が亡くなり、台北市立和平病院が院内感染で封鎖を余儀なくされる等の被害が出ました。

これらの教訓からその後防疫体制が整えられ、「中央疫情指揮中心」が置かれるなどし、今回これらが生かされているのは事実だろうと思います。

ただ、テクニカルな部分はさておき、今回の抑え込み成功の根本的な要因は、政府への支持率が高い中で方向性を明確に打ち出し、ブレずに素早く実行に移せたことが大きかったと見ています。

また、先に述べたように支持率が比較的高い中にあって、政府の打ち出す対策に世論の反発も大きくなく、従ったことも効果的であったのだろうと思われます。

抑え込んだが故の葛藤

現在、台湾では完全に感染を抑え込んでおり、強力な水際対策で外部からの侵入を許さない対応を続けています。しかし、これまでが防疫体制としては非常にうまくいっているがゆえに、却って緩めるべきタイミングが図りづらく、出口戦略が描けないのも事実です。

現に2020年12月22日に253日ぶりとなる国内感染が確認された際にはマスコミを始めとして大騒ぎとなり、社会にも緊張が走りました。これは、少しの失敗でもその批判が政府に向く危険性があることを示しています。

これは蔡英文民進党政府にとっては、非常に大きなプレッシャーになっているはずで、人的往来の緩和等、簡単には緩めることが出来ずこれまでの成果に逆に縛られて身動きが取れなくなる可能性もあります。

今後の見通し

ワクチンの供給開始は春先になると言われていますが、世界的な感染状況の推移も見つつも現状の人的往来の制限はまだ暫くは続けて行かざるを得ないでしょう。これまで同様、感染防止は水際対策に集中して対応していくことになりそうです。

また、海外との行き来が実質的に閉鎖されている中で、昨年度の経済は輸出が好調であったことと、政策による下支えもあって比較的好調に推移しました。航空業界、観光業は厳しい状況ですが、今年も内需を下支えしながらの動きになっていくものと思います。

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